妄想食堂・橋立イタリアンの巻
アンティパストは「ミズダコとアジとスズキの昆布〆と山菜のサラダ・レモンソースかけ」
定置網漁のアジとスズキ、底引き漁のミズダコです。ソースはレモン果汁とオリーブオイルとワインビネガー。酸味は強め、アクセントにレモンの皮のすりおろしを散らしてあります。お皿は秋友ガラス。
プリモピアットはシチリア風カポナータ、スルメイカのポテト詰め、サワラのインボルティーニ。
カポナータはワインビネガーと砂糖で甘酸っぱい味付けで、茹でたスルメイカの中にはマッシュポテトと野菜とイカのゲソのブツ切りが詰まってます。インボルティーニとは包み焼きのこと。サワラを薄く伸ばして、シイタケと赤玉葱をまいて、ハーブをまぶしてオーブン焼きにしたもの。サワラは定置網漁で獲れたもの。お皿は浅蔵一華さん。
トラエビのガスパッチョ。ガスパチョとはトマトの冷たいスープのこと。その中にソラマメとオリーブオイルとバルサミコ酢でマリネした生のトラエビが浮かんでいます。トラエビは底引き漁で獲れたもの。器は浅蔵一華さん。
お客様から、
「ガスパチョってスペイン料理じゃなかった?」 とのご質問。
そういう場合の返答に加賀にはピッタリの言い回しがあります。
「そんなん、いいがいね」
訳すと、゛そんなこと気にするなって゛ってこと。こう言うと「まぁ、そうやね」で会話が終了します。
パンには久米島の塩とシチリアのオリーブオイルがかかったものと、トイババ手作りのマーマーレードジャムのせの2種類を用意。お皿は秋友ガラス。
パンの他にも草団子も用意。器は秋友ガラス。
団子もイタリアン?
「そんなん、いいがいね。たくさん食べまっしね。」
セコンドピアットはホウボウのアクアパッツァ。ホウボウは刺し網漁で獲れたもの。ホウボウを焼いてから水とオリーブオイルで煮込んだもの。アサリ、トマト、オリーブ、ケイパーがいい仕事してくれます。器は浅蔵一華さん。この器はホウボウのためにあるようなフィット感があります。
ドルチェはパンナコッタとビワのコンポートとオレンジピールです。器は秋友ガラス。
そしてコーヒーでfin。
お酒は持ち込みです。ビール、ワイン、日本酒、泡盛、私もたくさんいただきました。ホント、どのお酒も美味しかったです!
二日間合わせて30数名にお客様がご来店いただいた今回の妄想食堂・カレットの巻は、おかげ様で大盛況で幕を閉じることができました。お客様、スタッフの皆様、そして橋立の漁師達と漁協の方々、ありがとうございました。
秋友さんの独立にあたり、自営業者としての仕事の進め方を秋友さんに勉強していただく意味で、先輩自営業者としての私の、最大限のお手伝いができたと思います。
物事を強引に押し通しても、何も得ることはできません。必要なものは忍耐です。忍耐を伴わない妄想や野望はとても危険なことです。計画から完成までの間には試行錯誤が繰り返され、産みの苦しみがあります。毒蛇は急がない。焦らずボチボチやろうぜ。
妄想食堂の哲学は、従来のレストラン形式に常に疑問を持ち、なおかつ、単に習慣だからという理由だけで普通のやり方に従わないということです。
レストランに入り、水とタオルを出され(冷たいビールを飲む前に!)、注文をとり、食事がでて、会計を済まし、料理人の顔を見ることもなく、店から出る。
こんなレストランのどこが面白いのか、わからない。2度目に行く理由がみつからない。それで経営が思わしくないのは不況のせいだ、政治が悪い、というのは、チョット、見当違いのような気がします。
不定期の妄想食堂ではありますが、ゲストとスタッフの距離をとても近いものにしていくことを大切にしています。スタッフにはゲスト一人一人にボディータッチするように、イヤかもしれませんが・・、お願いしています。料理と同じくらい大切なサービスは現実的で自然にすることにより、ゲストはリラックスして、幸せを感じ、快適に過ごせるのだと思います。
そして、食事の最後に私がゲストから聞きたいと思うことは、料理が美味しかったということより、楽しいひと時を過ごせたという言葉なのです。This is it!