秋の妄想食堂 料理の巻
ご馳走をお出しするということは、まず自分の足で食材を探すところから始めなければなりません。
どれだけ見えないところで努力するかが大事なことだと思います。
以前、とある高級温泉旅館の厨房に入り料理を作るところを見させてもらったことがあるのですが、既製品ばかり使った前菜やデザートにひどくガッカリしたことがあります。それじゃ魂が入ってない。全然ダメだ・・・料理人に強く意見を言えない社長の苦悩が痛いほどよくわかりました。
それに対し妄想食堂は器、食材、スタッフの尽力、どれも当日まで仕込みが続きます。なにせギリギリまで浅蔵一華さんの器は熱く、秋友ガラスは、フラフラになりながら、どうにか間に合ったのですから・・・
つまり正統派ではなく、スレスレのキワキワのところが我々の居場所なのです。
前置きが長くなりました。それでは料理をお出ししましょう!
゛甘エビと赤イカとバイ貝、マダイの昆布〆のお造り゛ 器・・・秋友ガラス
゛バイ貝のブルゴーニュ風オーブン焼き&五郎島金時の冷製ポタージュ゛
器はプラスチック製で、カンヌ国際映画祭のレセプションパーティーで使っていたものと同型のものです。こんなセンスのいい器を使っているのは北陸で妄想食堂だけだと自負しております。
゛鯛と鮭の柿の葉寿司と赤イカめし゛ 器・・・浅蔵一華
゛甘エビと蓮根の鹿の子揚げ゛ 器・・・浅蔵一華
どうねん、ボチボチ焼けたんか?
゛ノドグロの串焼きと栗のテンプラ きのこ味噌添え゛ 器・・・浅蔵一華
゛無花果の赤ワイン煮込みとお月見だんご゛ 器・・・浅蔵一華 秋友ガラス
Coffee 器・・・浅蔵一華 これでfinish!
我らスタッフとアトリエ理さん率いる和装スタッフがお料理をお運びいたします。一華さんの前のめりの接客、なかなか板についてきました! いかなる時でも前傾姿勢が基本です。
食事の前と中間には「やまぼうしの花」のお二人による歌声のプレゼント。日本の歌である童謡や唱歌を熱唱、お客様もそれに合わせて歌います。何名かのお客様は目を真っ赤にして涙ぐんでいました。歌はその方の思い出を激しく揺さぶるのでしょう。私も気を抜くと泣けてきそうになります。
お客様は家庭画報クラスの御婦人様から、ご覧のような美男美女のカップルまで幅広く、会場は大いに盛り上がりました。若いっていいな~ お二人の輝かしい未来にちょっとジェラシーを感じます。お幸せに!!
「ねぇ、ねぇ、これ、手書きじゃない?」
そうです。ALL手書きです。手抜きは一切なし。花の屋さんの奥様の作品です。今回はスタッフとして参加できなかったけど、十分存在感がありました。これを武功といいます。
大盛況で無事終了したアトリエ理さんとの妄想コラボ、理さんの人を引き付ける魅力に教わるところがたくさんありました。
お客様は私が太刀打ちできないほどの素晴らしいお料理を、その長い人生において、たくさん食べてきているはずです。ではなぜ、これほどキャンセル待ちがでるほど予約が殺到したのでしょうか?
それはみんな理さんと一緒に遊びたいと思っているからです。美食など二の次で、とにかく驚きと笑いと楽しみを待ち望んでいるのです。
その理さんの魅力と若者の熱さがミックスされれば、その相乗効果はかなり大きなものになることでしょう。
フレンチの重鎮ジョエル・ロブションは、
「レストランは料理4割、雰囲気6割と考える」
とおっしゃってます。まさに妄想食堂が目指すところなのです。さすが、いいこと言うな~
とは言ってもスレスレのキワキワの妄想食堂、次、いつやるかは全くの未定。みんな、ちょっと疲れ気味なのでしばらくお休みとなることでしょう。
ヘミングウェイが釣りにロマンスを追い求めたように、私は橋立の魚介にロマンスを追い求めます。
アトリエ理さんはじめスタッフの皆々様、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。
コメント
先日は素敵な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました。
来客のために、食材を取り、器を焼き、グラスを作る。できたものもさることながら、主催者のそのような思いや姿勢自体が最高のもてなしではないかと思った次第です。
上辺はおいしい料理でも、その後ろにある実体や、なんのために食事をしているのかが大事ことではないでしょうか?そういうものを含めて我々は料理を食べているんだと思います。
この一風変わった妄想食堂は来てくれた方の記憶に長くとどまるものだと思うのです。
また、上辺だけ取り繕うばかりの世の中で、本当に大事なものは何なのか、それがわかっている方々が多く参加されたからこそ、しっかりとした場もできたのでしょう。
お金を積めば何でも手に入る現代で、本物とは何なのか?自身の趣味を通して、いつも考えているのですが、それを再度考え直す良い機会でもあったと思っています。
投稿者: 中巳出崇 | 2010年10月 1日 12:02
何て素敵な食堂なんでしょう!
下準備といい本番といい、沢山の「愛」があります。これが、真の「おもてなし」ですね。スピーチもブログ上ですが体に電気が走るくらいパンチの効いたものです。その辺の政治家より雄弁だと思いました。人の心を動かすのは政策でも丁寧さでもないです、必死さですね。食堂で革命を起して下さい!! ブログ上ですが応援させて頂きます。
投稿者: nono | 2010年10月 1日 13:50
中巳出崇さんへ
先日は妄想食堂にご参加いただきありがとうございました。
本物とは何か? なかなか難しいテーマです。今の私に出来ることは、仕事でも遊びでも真剣に対面し、決して手を抜かないことです。
私は真剣さに欠ける人を軽蔑し、必死さが伝わる人を尊敬します。
゛人間いつ死ぬか分からないから、その時のすべてを出し切りたいんだ。
俺はいつ死ぬか分からないし、見てくれる人だっていつ死ぬかわからない。
視聴者が最後に見た江頭が、手抜きの江頭だったら申し訳ないだろ゛
敬愛する江頭2:50の言葉に激しく共感します。
王道ではない、世間の隅っこでコッソリと開催する、架空で、春の夜の夢のような妄想食堂をこれからも応援してください。早稲田マン研ご出身の中巳出さんを心より歓迎いたします!
投稿者: 戸井鮮魚の良平です | 2010年10月 1日 15:23
nonoさんへ
吉兆やリッツ・カールトンのようなスマートなおもてなしは出来ませんが、せめて吉本興業的な笑いに包まれた宴になれば、と思っております。
褒めたり、落としたり、毒を吐いたり、シモ系で笑いを取ったり、とにかくお客様を楽しませることが大事です。
やってることはまるで新宿のホストクラブのようです!
妄想食堂はあくまでも、nonoさんの心の中に存在する架空のレストランなのです。革命などとんでもないてす・・・・
投稿者: 戸井鮮魚の良平です | 2010年10月 1日 15:42
またまたステキな妄想ワールドを魅せて頂きました♪
通常、レストランへ出向いても、ぐるりを取り巻く見知らぬお客様と
同じコース料理を頂き、音楽をも味わい、料理人、器やお花の作家自らが表舞台に立ってもてなし、
スペース全体で一体感を感じる食堂なんてあるでしょうか~。
浅蔵さんとアキトモさんの和テイストな器のオンパレードのなか、突如現る、近未来的な宇宙っぽさを彷彿させる銀の器。
粋です!!!いつか宇宙旅行へのシャトルの中の機内食はこんな感じ?!
1つのショーを観終わった感の幸福感がそこにありました。
チーム妄想食堂のメンバーが魅せてくれたワンナイトショー。
昔あったミステリー列車のごとく、次なる行く先はわからないけど、
なんだかわくわくする不思議ワールドです。
戸井さんの少年のようなたくらみが
毎度、皆を感動させてますね。
どうもありがとう☆おつかれさまでした
投稿者: wine | 2010年10月 1日 21:37
wine さんへ
前回に続き妄想食堂にご参加いただきありがとうございました。
wine さんが妄想食堂でワクワクするのと同じくらい、私達スタッフはドキドキのハラハラのヒステリー暴走列車状態なんです。
だから妄想ワールドはスタッフの体力が回復するまで、当分の間休業です。
人生などあっという間に駆け抜ける、ひとときの夢の中のようなもの。
ならばずっと少年の心でいたいものです。
wine さんも永遠の少女のように、瑞々しい感性を大事にしてください。
そしていつか面白いことをして、私達を感動させてね。
とっても期待してます!
投稿者: 戸井鮮魚の良平です | 2010年10月 2日 15:37
初めまして、安念美弥と申します。妄想食堂の噂を聞いて、ブログ拝見しました。力強いお仕事ですね。
九谷焼作家さんの浅倉一華さんの器に盛りつけられた料理を見て、お願いをしようと決めました。
コメント欄から失礼します。
今私は、加賀の九谷焼の情報を集めたHPをつくる仕事をしております。
九谷焼を県内だけではなく県外の方々にもっと現代の多種多様の九谷焼を知ってもらおうと奮闘中です。
九谷焼のイメージはまだまだ「どぎつい」「飾り物」というものが残っており、食べ物を盛りつける楽しみを伝えることが急務だと感じております。
人は九谷焼を単品で買う気になるのではく、頭の中で器に盛った料理を浮かべ、その広がりを妄想して「楽しい!」と感じた時に買うのだと思います。
だからこそ、料理と九谷焼が見た人にドカンと目に入ってきて感動させたいと思いました。
ブログを読ませていただいて、多くの方が九谷焼を購入されたのも「料理と九谷焼」がガチっと心をつかんだからだと思いました。
長くなってしまいましたが、是非戸井さんに九谷焼の器とマッチした料理をつくっていただきたいのです。
突然のメッセージ失礼いたしました。今日、妄想食堂の話を聞いていてもたってもいられず書いてしまいました。明日、お電話する前に名前と思いを残させていただきます。
しつれいします。
安念美弥
投稿者: 安念美弥 | 2010年10月 4日 00:55
安念美弥さんへ
ステキなお話ありがとうございます。
器やガラスなど購入する判断基準は、まずその作家さん自身に魅力があるかどうかにかかってます。
いくらステキな作品でも非社交的で無愛想な作家さんが作ったものなら決して買わないし、まして妄想食堂で使おうとも思いません。
浅蔵一華さんや秋友ガラスさんはその点からいうと愛すべきステキな人達なのです。
その愛情が器に盛った料理にも反映しているのではないでしょうか。
料理と器と愛情の三つが、三本の矢のように、束なったときに感動を呼び、購入に結び付くのだと思います。
今回の妄想食堂は決して「料理と九谷焼」だけで心を掴んだわけではありません。そのあたりの感覚がわかるか、わからないかでは天と地ほど違ってきます。
上記のことを御考慮のうえ、一度ご連絡くださいませ。
投稿者: 戸井鮮魚の良平です | 2010年10月 4日 08:08