シケの晩の宴会
大陸から低気圧が近づいてくると、半日ほど間は波一つない静かな海況が続きます。
風が゛くだり゛から゛あい゛に変わるとシケの始まりです。今日から全船休漁、お互いの船をロープで縛りしっかり固定して波・風に備えます。
こんなシケた週末、雨を眺めながら、溜息をつき、家の中に籠もるのは健全な肉体と精神を蝕みます。
こんな日こそ、みんな集まって、金出し合って、ズワイと香箱を山ほど喰おうか! オフザケが過ぎる宴会でもしないと、こんな海しかない、なんの刺激もない片田舎で暮らせない。
香箱ガニも、
ズワイガニもたくさん用意しました。これだけのカニを料理屋で食べたら、いったいいくらするんだろうか?怖くて伝票見れないね。
フクラギのお造りも食べてね。
地酒の双璧をなす石川の天狗舞と福井の花垣。゛両手に花゛とはこのことを言います。
冬の北陸の味覚の層の厚さ、実力はおそらく日本一でしょう。日本一ということは、つまり世界一ということです。
ズワイのミソに、
、
日本酒を入れます。この広大で起伏に富んだ比類なき海の果汁をすすると、なんとかこの冬を越せそうな、そんな漠然とした見えない力が湧いてきます。
話は経営戦略,アスリート談義、趣味嗜好、家族と子供・・・エロ話は嫁さん達と子供達がたくさんいたので小声で・・
などなど深夜まで続きました。少子化問題やデフレ経済、南加賀からの企業撤退など私達の取り巻く環境はますます悪い方向へ流れてますが、幸いにも私達の仕事は超零細企業、つまり産業革命前の手工業と同じす。
人を使わず家族経営をすることにより、支出が大幅に抑えられ、駆逐艦のように戦場を猟犬のように駆け回る機敏かつ機動力のある商売をすることができます。今はそういう時代なんじゃないかと思います。店舗を構えるのも、人を雇うのも、もはやナンセンスなのかも知れません。
そして私は発見しました。
カニ宴会にいらっしゃった4名の奥様方は私を含め、すべて同い年だということを。そして私だけ嫁さんの名を呼び捨てにしてない(できない)ということも!
一足早いメリークリスマス!
゛言葉がヘタだけどわかって欲しい、アナタが宝物です゛、っていうときには花を贈りましょう。