好きな本シリーズ
今日の波は5Mの大シケ、もちろん休漁です。漁師はマージャン、パチンコ、スナックと楽しい休日を過ごしていることでしょう。
私は午前中に注文分の干物作りだけして仕事が終わりました。さぁ、自由時間です。ジョギング、筋トレなどやることがたくさんあります。ブログもマメに更新しないと全国にたぶん1000人くらいいらっしゃるファン(?)の方に申し訳ない。なんだかいつも時間に追われてます。
仕込みのない夜は嫁さん、子供をシャットアウトして書斎に籠もり読書三昧、最高の時間です。
今日は部門ごとに分けて、私のお気に入りの本の紹介をします。
歴史部門第一位、 井上靖 「敦煌」
西域の敦煌の石窟から発見された膨大な経典。その背景にはきっとこんな歴史的事件があったに違いないとイメージを膨らませ、詩情豊かに書き上げた作品。男心をくすぐる西域のロマンがあります。
ちなみに真田軍記のなかの「犬坊狂乱」は、ある書物に「下条家褒美犬坊変死之事」という一項があり、それをもとに物語を作ってます。この凄まじいほどの妄想力、飛び抜けた才能です。
エッセイ部門第一位、 向田邦子 「父の詫び状」
「寺内貫太郎一家」のモデルだった、明治生まれの頑固で癇癪持ちのお父さんのことを向田流のはぎれのよいテンポで描いてます。まだ父の威厳が保たれていた時代の話、羨ましいけど真似できない。
どうしてそこまで男の弱い部分が理解できるのか不思議です。人間的な温かみに溢れています。
私とは時代が違うが、もし出会っていたらきっと好きになった思うほど魅力的な女性です。
惜しい人を飛行機事故で亡くしました。もう、いないと思うととても悲しいです。
ルポルタージュ部門第一位、 開高健 「オーパ」
釣り紀行文の金字塔です。高校の頃に出会いこの幾十にも構築された文体に衝撃を受けました。開高健の文章はまるで宝石のように輝いています。いい年をした大人をそそのかす要素があります。現代の作家さんとはレベルが違います。
できることなら20年早く生れて、集英社に入社してオーパ隊の一員として一緒にアマゾンへ行きたかったな・・・
戦記部門第一位、 大岡昇平 「俘虜記」
フィリピンでの捕虜生活を客観的かつ理系のような文体で語っています。特に前半の「米兵をなぜ射たなかったか」という命題を緻密かつ誠実に説明するところは一読の価値ありです。頭がキレすぎです。
昔、井上靖と「歴史小説とは何ぞや?」 ということで喧嘩したけど、詩人肌のロマンチストと理系の現実派の言い争いは決着するはずがありませんね。
恋愛部門第一位 村上春樹 「ノルウェーの森」
唯一愛読した恋愛物、一気に春樹ワールドへ引っ張られました。この本は世の中にでる宿命があり、すでに亡くなってしまった方々の心の叫びがあったはずです。初版から20年以上たった今でも本屋の書棚に座り、新しい読者を獲得し続ける、稀有な作品です。映画化決定とも聞いてます。楽しみです。
できることなら、作者にもう一度あの頃の時代背景の作品を書いてもらい、主人公のワタナベ君や直子や緑にまた会いたい。
「私のことをいつまでも忘れないで。私が存在していたことを覚えていて」と。
そう考えると僕はたまらなく哀しい。何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。
「ノルウェーの森」より抜粋
まだまだ続きたいのですが、なんだか気が重くなってきました。今日のところはこのへんで終わりにします。