タラ、ぼちぼち揚がってきたぞ
12月に入ってくるといままで蟹一辺倒だった底引き船も、蟹の水揚げの減少とともにタラや赤カレイ、ミズタコなどの、いわゆる普通の魚も狙いだしてきます。若い衆たちの蟹だけ獲っていればよかった最高の季節は瞬く間に過ぎ去り、極寒のなか、寝る間なく働く過酷な季節の始まりとなります。船に乗っていた頃を思い出します・・・。
・・・座って飯を食う時間もなくなり、網をあげる少しの時間を利用してドンブリにレトルトカレーをぶっかけて、寒さのためうまく動かない手で箸を不器用に使い、時折来る激しい揺れに耐えながら、海水と鼻水で顔を濡らし飯を飲み込む。能登沖海上強風警報発令中、三国、金沢の底引き船団は逃げるように帰港。橋立船団のみ粘る。
空は黒い雲に覆われ、遠くのほうで稲妻が走る。しだいに光と音の間隔が短くなる。雷雲が近づいている。危険だ。帽子が飛ばないよう顔をあげて見る海は、暴風とウネリが入り乱れ、いろんな方向から切れのある筋が幾線も走り白く濁る。地獄が口を開けている。救命具は死体を沈ませないために使うもの、落水したら確実な死が待っている、捜索不能な海況。
激しい嘔吐が襲う。海にむけて吐く。そのとき船頭がブリッジの小さい窓を開けて、
「リョウ! 大丈夫か! 血吐いたんか?!」
と声が風に流されながら怒鳴っている。口を拭うと真っ赤な嘔吐物がゴム手袋に付着。
「あっ、これ赤ワインや。こんなシケでまさか今晩沖に行く思わんで飲んどったんや。
だって今晩ってクリスマス・イヴやよ、船頭、知らんと思うけど・・・。 」
「エーイ、ダラ!」
険しい顔でそう言い放ちすばやく窓を閉める。ドラムは規則正しく回り、リールにロープを納める。
まだ帰れそうもない。
こちらはマダラ、マコ入りでした。カニもそろそろ飽きたので、冬の魚が揚がると嬉しいです。
とてもキレイな白身です。ヌメリがあり捌きにくい。
半身を昆布締めにします。人気商品です。
残りの半身とアラは鍋用にするため、カットしてパック詰め。
これがタラの卵のマコちゃん。マコに昆布を巻いてコトコト煮付けにして、輪切りして食べると気絶してしまうほど美味しい。売れ残らないかな~。(残念、すぐ売れた・・)
コメント
この17日に忘年会があるんだけど、そのタラはどうかね?高価かね?甘エビと組み合わせては?
タラはどうたべタラいいのかね?
投稿者: isara | 2007年12月13日 21:48
今年も若い衆たちは、
を楽しむ(?)のかの・・・・・
投稿者: tetsuya | 2007年12月13日 21:49
いさらさんへ
タラの値段はたいしたことないですが、この週末、日本海側ほぼ全域シケ模様のため休漁中ですので17日にお届けすることができません。残念。今日の横浜は抜けるような青空でしょ。そういう時、石川県は鉛色の低い雲に覆われていて、海は大シケです。
でかい香箱蟹と一夜干しならあるんだけどなー。
投稿者: 戸井鮮魚の良平です。 | 2007年12月14日 15:38
tetsuyaあんちゃんへ
コメントの空欄には
<船上のメリークリスマス>
が入ります。
なぜか抜けていました。なんでだろう?
あんちゃん、思い出しますね。宝勝丸での数々の出来事・・・。
この話は2年前のイヴの夜の出来事。
ジングルベルの替りに寝台室にけたたましく鳴り響く網上げを知らせるブザー。
サンタの挨拶の替りに船頭の怒号。
プレゼントの替りに網と一緒に揚がってくる巨木、またはエチゼンクラゲ。
白いケーキの替りに白い飯にかけるいつものマヨネーズシーチキン丼。
もう胸が一杯です。気持ち悪くなってきた・・。
投稿者: 戸井鮮魚の良平です。 | 2007年12月14日 15:56