ハワイでは高級魚のシイラ
いやー、やりましたね。橋立沖でバショウカジキをルアーでアタックをかけていると、外道のシイラがヒットしました。
超弩級のホッパー、全長約30cm。5年ほど前、沖縄の与那国島に釣りに行った際に購入したもの。これでG・T(ジャイアント トレバリー、和名ロウニンアジ)を狙う。もちろん釣れなかった。
ギラギラ輝く夏の太陽の下、突然水面が炸裂! リールからラインが水煙を上げて群青の海に吸い込まれていく。ドラグを締めたり、緩めたりして相手の動きに集中。太陽は容赦なく私を照りつけ、海の大きなうねりは足元を揺るがす。右手で三日月のようにしなり震えているロッドを握り、左手を伸ばしてペットボトルを引き寄せ、リールに水をかけラインの磨耗を防ぎ、残りを頭からかける。水は瞬く間に蒸発し再びゴングが鳴る。なるほど、別名「万力」と呼ばれる訳がわかった!猛烈なファイトを繰り返す。しだいに水面近くにエメラルドグリーンの魚体が現れ、最後の抵抗を試みる。
「easy、easy、よーし、いい子だ・・・」
少し疲労してきたシイラをいたわるように巧みなロッドさばきで船の近くまで引き寄せ、エラに手を入れて一気に船にあげる。
魚体が一瞬、黄金色に染め上がる。カッと巨口をひらいたまま息をひきとりつつ肌の色がみるみるかわっていくシイラにいいようのない恍惚と哀愁、そしてくっきりそれとわかる畏敬の念をおぼえる。これこそがこの大海原の核心であり、本質である。蒼古の戦士は眼をまじまじ瞠ったまま静かに死んでいき、顔貌を変えた。私はポケットに手を突っ込み、クシャクシャになった両切りのラッキーストライクに火をつける。真っ赤に燃えているような夕日を背にタバコの煙がゆっくりと流れていく。虚無の充実、円は閉じた。暖かな風が頬を撫でる。風の歌が終わるまで、もう少し眼を閉じてよう・・。
そのとき、耳元で信じられない声を聞く。
「エーイ、ダラ!父ちゃん、いつまで寝とれん、はよ起き!」
こん棒で頭を思いっきり殴られた衝撃が身体を駆け巡る。
「あっ、やべ、寝すぎた・・・」
そうか、夢だったのか。シイラは釣ったのではなくセリ落としたのだった。チャンチャン。
最近の私の妄想癖は病気のレベルまできている気がする。
ハワイではマヒマヒと呼ばれる高級魚でも日本じゃあまり評判がよくないです。私も惣菜魚として扱います。
10キロのシイラ、またまた軽トラの上で捌きます。
身は少し赤みを帯びており、とてもキレイです。味の評価は人によって分かれますが、身は癖がなくあっさりしているため、いろいろな料理に向きます。チーズを挟んでのフライも旨そうだし、ソテーしてトマトのケッカソースをかけても旨そうだし、レモンと粒マスタードでカツレツなんかもいいし・・楽しみ。
コメント
グングン引きこまれました^^
ε=( ̄。 ̄;A フゥ…おもしろかった。。
投稿者: 風花 | 2007年9月12日 04:21
風花さんへ
最近、橋立にシイラがたくさん水揚げされてます。嫌われ者のシイラですが、刺身で食べてみるとなかなかgoodでした。侮るべからず。
投稿者: 戸井鮮魚の良平です。 | 2007年9月12日 07:43
はじめて投稿します金沢のミチです。最近よく読ませていただいていますが、面白いですねえ表現が。私は魚と酒が大好きなので、本当に楽しみにしてみています。機会があればそちらにも一度伺ってみたいですね。
投稿者: ミチ | 2007年9月13日 11:00
ミチさんへ
コメントありがとうございます。
ブログ楽しみに読んでいただいてとても光栄です。
これからも私の妄想癖につきあってください。ロマンチックな愚か者目指して日々精進していく所存です。
投稿者: 戸井鮮魚の良平です。 | 2007年9月13日 13:37